
23歳
東京消防庁 消防職員 (西東京消防署 予防課 査察係)
埼玉県出身
東京法科学院専門学校 卒業
女性消防職員として活躍する彼女に、専門学校での勉強、公務員試験合格から現在のお仕事についてじっくり語っていただきました!
-まずはじめに高校生の頃のことを教えて下さい。
高校は東京の私立大学付属高校に通っていました。当時は大学進学を考えていましたが、付属高校だったということもあり、塾などにも通わず3年間アルバイトばかりしていましたね。文系の進学クラスでしたが、その頃は今の仕事に就くなんてことは全然考えてもいませんでした。ただ漠然と心理関係の仕事につけたらいいなとは思っていました。
-その後、心理関係とも違う選択をされましたが、どうして専門学校に行こうと思ったのですか。
周りの友達がみんな大学に受かって私だけが決まらなかったんです。でもその時から将来就く仕事については、最終的に大学に行った人たちに差をつけたいと思っていました。大学に行かなかったという負い目もあって、だったら一生できる仕事でなおかつ他の人がやらないような仕事で、しかも人の役に立つような仕事だったら最高だなと思い専門学校への進学を考えました。
-人の役に立つ仕事とは。
一時は看護師も考えていました。奉仕する場がある仕事に就きたいと思っていましたね。それでいてやりがいを常に実感できる仕事がしたかった。その時には、もう心理関係ということは頭にはなくて、仕事をするなら奉仕できるものがいいなということである程度固まっていました。
-そして消防か警察にしぼっていったわけですね。
はい。一生続けていくということを考えた時、警察や消防のほうが看護師より長く仕事できると思ったんです。看護師の仕事は厳しいということも言われていましたが、祖父が自衛隊で祖母が国立大学の事務職で、2人共に公務員だったこともあって、公務員を身近に感じていたし、興味もありました。祖父は自衛隊に入ってほしかったようですが、地域の人と触れ合うというイメージが私にはなかったのもあり、それよりは警察、消防のほうが地域に近いところで人と触れ合いながら仕事ができると思ったのです。
-専門学校ではどんな学科・コースを選んだのですか。
公務員学科の中で警察、消防、それと一般の公務員という3つのコースに分かれていましたが、警察でも消防でもなく一般の公務員コースを選択しました。実は私は眼がすごく悪いんです。(笑)筆記試験はがんばれば受かると思っていましたが、身体面で落とされてしまう可能性があるかもと不安だったんです。せっかく専門学校に入ったのに、どこにも就職でできないということは避けたかった。でも気持ちは警察、消防に向いていましたので、学校の勉強も一生懸命しましたが、体力作りで走ったりもしていましたよ。警察、消防では体力測定もあるので、ある程度体力がないと苦労すると思って。
-公務員試験は難しいというイメージがありますが、実際にはどうですか。
公務員試験はⅠ、Ⅱ、Ⅲ類の3つに別れています。Ⅲ類が高卒程度、Ⅱ類が短大卒業程度、Ⅰ類が大卒程度の人が受けます。Ⅱ、Ⅲ類の違いはそれほどありませんが、Ⅰ類では経済学とか法学とかの分野が入ってくるので、大学に行ってないと難しいかなと思います。Ⅱ、Ⅲ類は大学受験の内容が役に立つと思います。2~3問ずつと問題数は少ないですが、ほとんどの教科から出題されますね。問題数は試験によって異なりますが45問ないしは50問のうち一般教養が半分、あとは数的とか判断とか資料解釈という公務員試験独特のものが出題されます。倍率は厳しいですが基本的なことを勉強しておけば試験自体が難しいという感じはしていませんでしたね。むしろ広く勉強している人であれば、難しいというイメージだけで敬遠するのはもったいないと思いますよ。
-公務員試験問題集などを見ると、問題の出し方が独特ですね。そういうふうに質問してくるか、という感じがしますね。
そうですね。でも問題の傾向などは一緒なので、解き方というか、それを押さえれば大体どの問題でも解けるというふうには思いました。
-2年間、専門学校で勉強することにはどんなことがありますか。
まずは、公務員ってどういう仕事があるのかを勉強しました。一口に公務員といっても国家公務員と地方公務員があって、さらにいろいろと分かれていますから。勉強するうちに、当初の希望が変わってくる人もいるので、まずは公務員の仕事を知ることが基本ですね。その後で、受ける試験によってその違いはありますが、大体の傾向をつかんで、一般知識の勉強、さらに資料解釈などの勉強をする。あとは過去問を解いて分析していくことの繰り返しですね。
-他には。
仕事ではパソコンのスキルが必要なので、ワードやエクセルの勉強をし資格も取りました。面接もあるので、面接スキルやビジネスマナーなども必要になってきます。だから敬語や言葉使い、文書の書き方などを覚えるためにビジネス文書検定、秘書検定の勉強もありました。
-幅広いですね。
ビジネスマナーなどは大事ですよね。仕事としては子どもから大人まで相手にするので、一般教養というか常識的なことができないと業務に差し障りが出るでしょうし、公務員というとお堅いとかしっかりしているというイメージというとおかしいですが、キチッとした応対を求められる職業なので、そこに応えないといけない。面接でもそういう資質があるかどうかも見られていると思います。
-一番印象に残った授業とかありますか。
過去問を試験対策として数多くやりました。これは本当に役に立ちましたね。実際、試験にも似たような問題が出たので、やっててよかったと思いました。
-ものすごい問題の数をこなすそうですね。
はい。ひたすらやって、まちがったところを分析してという勉強の仕方がよかったと思います。それと消防署に入ってから役に立ったのは、なんといってもパソコンですね。パワーポイントもできないといけないので、もう、パソコンがないと仕事ができないくらいです。
-実際に受験された時は、消防に行くと決めていましたか。
受験の時は併願もできるので、警察と消防の2つを受けました。それでどっちも受かり、最終的に消防にしました。
-試験はイメージしていた通りでしたか。
専門学校の1年の終わり頃に、会場の雰囲気になれる目的も含め一度受験していたんです。筆記のほうは対策していましたからそれほど驚きませんでしたが、やはり面接では緊張しましたね。
-それから1年後に再度受験されるわけですね。一度経験しているので・・・。
試験はすんなりいきましたが、受かりたいというか仕事に就きたいという思いが強かったので、緊張感はありましたよ。
-合格から1年経ちますが、今は具体的にどんな仕事をしていますか。
私の仕事はちょっと想像しにくいものかもしれません。消防署の予防課に勤務しています。簡単に言ってしまえば建物を見る仕事です。建物そのものもそうですが、建物内の設備や消火器や誘導灯などもその対象です。また、建物の中にいる人たちに防災上の指導をしていくということも仕事です。そして私が担当する査察係は、消防計画などを見て建物に出向き、どういうふうに維持管理されているかなどの確認をします。予防とは災害にならない環境を作る仕事なのでピンと来ない方も多いでしょうが、ものすごく大事なことですね。
-何事も起きないのがいいわけですからね。
そうなんです。そのために建物の設備などは備えてあるわけですし、いざという時に正常に動作するためには定期的に検査し、維持していかないといけないわけです。
-近年のビル火災などでは、階段に物が置いてあったために被害が大きくなったケースが多いですね。
避難経路の確認・確保などは大事です。歌舞伎町の雑居ビルの火災が大きく取り上げられましたが、これも予防という見地から指導していかないといけないということで、私たちにも大きな影響のあった事件でした。
-ところで、仕事は慣れてきましたか。
はい。でも最初は戸惑いもたくさんありましたよ。消防署に入署する前の消防学校では消防訓練をしていたんで、現在の予防という仕事は教科書や書面でしか知りませんでしたしね。専門用語など一般の人たちが知らない言葉をどうわかりやすく伝えるか、などという点でも苦労しますね。それにまだ経験も長くはないので、建築基準法や消防法など、まだまだ勉強することはたくさんあります。
-逆に楽しいことはありますか。
やりがいをすごく感じます。立ち入り検査に行って相手と話している時に、防災意識が芽生えた返答があった時とか、興味を持っていただけた時は本当によかったと思います。また、一度指導して後で書類を出しに来られた方に「この前はどうも」などと声をかけられた時は嬉しいですね。
-今後に向けての目標などはありますか。
今は予防課の査察係ですが、予防にもいろいろあって、防火管理係という消防計画とか訓練とかを担当する係もありますし、危険物係は施設を管理する係です。予防係は工事が始まって建物が建つまでの過程での設備を扱う一番最初の部分を担当するなど、署によって違いはありますが、大きくは4つあります。そのいろいろな所で経験を積んで、最終的には予防のスペシャリストとして続けていきたいなと考えています。消防は救急や火を消すだけでなく本当にいろいろな職種があります。法律関係を専門にする人、消防車の整備をする人、職員が使う器具を開発する人など、いろいろな経験をもった人たちが活躍できるところですね。オレンジ色の服を着た救助隊を志望する人が多く、憧れの職種ですが、様々な仕事を経験できるのは、入ってからいいなと思っていることです。
-最後に、公務員・消防職員をめざす人にアドバイスをお願いします。
公務員は他の職業より情報が少ないというか、わかりにくい仕事かもしれないですが、なりたいと思うならしり込みしないで挑戦してほしいですね。考えるほど難しい仕事ではないと思います。入ってからがんばれば誰でもできる仕事です。公務員は一般企業と別にされているようですが、私は一緒だと思っています。特別視しないで、チャレンジしてください。
-今日はどうもありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。

















